動脈硬化予防に矯正治療が有効??

目次

動脈硬化は高齢者の病気?

動脈硬化というと、皆さんどんなイメージをお持ちでしょうか。

お年寄りの病気?いえいえ、そんなことはありません。

実は30才頃には、かなりの人の血管で軽い動脈硬化がみられます。40歳にもなるとほとんどの人の血管が動脈硬化の状態であるともいわれています。

動脈硬化とは

体のすみずみまで酸素や栄養素を運ぶ役割を果たしている動脈。この動脈が年齢とともに老化し、弾力性が失われて硬くなったり、血管内にさまざまな物質が沈着することで狭くなり、血液の流れが滞る状態。これを動脈硬化と言います。

 

口の中とも関係があった動脈硬化

昨年末、興味深い研究発表がありました。

概要

京都大学の研究グループは、2007年から2010年にかけて滋賀県長浜市で行った、市民を対象とした大規模な疫学調査である「ながはま0次予防コホート事業」で得られた30~75才、約10,000人の情報を用いて、失った歯の数と動脈硬化の度合いに関連があることを証明しました。

ながはま0次予防コホート事業とは?

長浜市民1万人を目標に参加者を募り、参加者から提供していただいた血液や尿、健康情報などの試料等を蓄積し、管理運用を行う事業のことです。

コホート研究とは

特定の地域や集団を対象に、長期間に渡ってそれらの人々の健康状態を調べ、それが環境や生活習慣などとどう関連しているかということを調査する研究のことです。

詳細な内容は

 浅井啓太京都大助教らは、まず参加者全員の歯科検診を実施し矯正や外傷を除いた、歯周病などで失った歯の本数を確かめました。

 また同時に、体を横たえた状態でCAVIという方法で参加者の動脈硬化の程度を割り出しました。

 年齢や性別や喫煙の有無、血糖値などの動脈硬化に関わるほかの条件の影響を排除し、両者の関係の有無を解析したところ、失った歯の本数が多いほど、動脈硬化の程度が悪くなっていることが分かりました。

つまり

歯周病が動脈硬化を引き起こす可能性が高い、ということです。

つまり口の中のケアをしっかりと行い、定期的な歯科検診を受診することで歯周病を予防し、ひいては動脈硬化をおこすリスクを下げることができるのです。

ただ、歯並びに問題があると、セルフケアだけでは歯周病を予防するのが困難であることはご存知の通り。

 

おさらい

以下のような流れになります。

①矯正治療をおこないセルフケアしやすい、きれいな歯並びかみ合わせを手に入れる。

②セルフケアしやすい口内環境で、しっかりと歯周病予防。

③結果として様々な病気の予防につながる。

このように矯正治療は長い目で見ると、きれいな笑顔という見た目以上に様々な価値がある治療です。

つい目先のものに目を奪われがちですが、こういった視点で矯正治療を始めてもらえる方が今後増えてくるのではないでしょうか。

 

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